A型インフルエンザウイルス感染に対する低濃度二酸化塩素ガスの保護効果
緒方規男 柴田高 Norio Ogata and Takashi Shibata
最初の公開日: 2008年01月01日 https://doi.org/10.1099/vir.0.83393-0
要約
インフルエンザウイルス感染は、ヒトの罹患率と死亡率の主な原因の1つです。ヒトの間では、このウイルスは主に呼吸器系から排泄されたエアロゾルを介して広がる。インフルエンザウイルス感染の予防の現在の手段は、その限られた有効性のために完全に満足のいくものではありません。パンデミックインフルエンザに対する安全で効果的な予防策が大いに必要とされています。インフルエンザAウイルスのエアロゾルによって誘導されたマウスの感染は、非常に低い濃度(ヒトへの長期許容暴露レベル、すなわち0.1p.m.)で二酸化塩素(ClO2)ガスによって予防されたことを実証する。半閉じたケージ内のマウスは、インフルエンザAウイルス(1LD50)とClO2ガス(0.03 p.p.m)のエアロゾルに同時に15分間曝露された。暴露の3日後、肺ウイルスのtitre(TCID50)は10であった2.6±1.5ClO2で治療された5匹のマウスでは、10匹であった6.7±0.2治療されなかった5匹のマウスに(P=0.003)16日後の累積死亡率は、治療されなかったClO2および7/10マウスで治療された0/10マウスであった(P=0.002)。生体外実験では、ウイルス感染に欠かせないウイルスエンベロープタンパク質(ヘマグルチニン及びノイラミニダーゼ)を変性させ、感染性を廃止した。まとめると、ClO2ガスは、ヒトへの許容暴露レベルをはるかに下回る濃度でウイルスエンベロープタンパク質を変性させることによって、マウスにおけるエアロゾル誘発インフルエンザウイルス感染を予防するのに有効であると結論付ける。したがって、ClO2ガスは、避難を必要とせずに、人間の活動の場所でのインフルエンザに対する予防手段として有用であり得る。 https://www.microbiologyresearch.org/content/journal/jgv/10.1099/vir.0.83393-0